心地よい秋風を感じるこの季節は、自然の中でキャンプや登山などのアウトドアを楽しむのに最適です。近年、盛り上がりを見せているのが、自らテントの設営やキャンプ道具の準備をすることなく気軽にアウトドア気分を満喫できる "グランピング"というスタイル。山梨県富士河口湖町に今年7月オープンしたばかりの「つながる CAMP RESORT くうねるたす」は、標高1,020ｍの高地から富士山と河口湖を一望できる、贅沢な大人のためのグランピング施設です。周辺には、天然記念物にもなった御神木「七本杉」が鎮座する「河口浅間神社」や、美しい清流「母の白滝」も。地元の人から長く大切に育まれてきた神聖な地で、しばし時間を忘れ、心と体をほぐす宿泊体験を楽しむことができます。

大自然の中で快適に過ごせるグランピングテント

宿泊場所は、断熱材でつくられたドーム型テントもしくは天然木のトレーラーハウス、いずれも一棟貸切のスタイルから選ぶことができます。今回宿泊したのは、コロンとした愛らしいフォルムのテント「QOO HOUSE -くぅはうす-」。いざ到着すると、四方を囲む豊かな森林、眼下に広がる河口湖と街並みの美しい景色に目を奪われます。デッキ部分には、ゆったりと座れるイスに、大きな焚き火台。テーブルやBBQグリルが設置された食事スペースは屋根もついているので、急な雨が降ってきても、快適に食事を楽しむことができます。

「オーナーがこの場所に惚れ込んでから、何度もこの地に通い、地域の方々との交流を深め、やっとこの夏オープンすることができました。『くうねるたす』でのグランピング体験が、お客様にとって、"心と体のリバランス"の時間になればと思っています」（マネージャー大石さん）

取材当日はあいにく雲が多く、富士山の全貌をとらえることができませんでしたが、よく晴れた秋の日だったら、美しい富士山の姿と紅葉を眺めることができるでしょう。

ドーム型テント内の壁は断熱材でつくられており、簡易窓があるので換気も可能。シングルサイズのベッド4台のほか、ライトや空気清浄機なども配置されており、過ごしやすい空間に。最大4名まで宿泊が可能。敷地内には共同のシャワールームがあり、シャンプーリンス、歯ブラシセットやブラシなど、アメニティも充実しています。

新鮮な地元の食材を豪快なBBQスタイルでいただく

素泊まりも選べますが、地元の食材を楽しめるBBQ付きプランがおすすめです。食事スペースには、シンク、調理器具、食器、調味料まで完備。クーラーボックスも1台自由に使えるので、道中にドリンクを買って行けば、食事の時間まで冷やしておけます。スタッフさんが新鮮な食材を届けてくれた後は、好きなタイミングでお肉を焼き始められます。BBQグリルは、本場アメリカのスタイルで焼ける蓋付きのタイプ。

この日のメニューは、丸ごと鶏を焼くビア缶チキン、甲州ブランドのポークステーキ、北麓ジビエ鹿肉のチリスープ、リブフィンガーのBBQ串、サーモンのメープルシロップ焼き、オーガニック野菜、ナッツとクランベリーのサラダなど、合計9品。ジューシーなお肉だけでも、チキン、ポーク、牛、鹿肉と、4種も味わえる贅沢なメニュー。焼いている最中の香りから、一気に幸せな気分になります。このグランピング体験を通してエネルギーを取り戻してほしいという想いから、お肉も野菜もボリューム満点のメニューに設定しているのだとか。

お腹いっぱいになった後は、焚き火をしながら、友人との会話や夜景を楽しむ時間。焚き火は着火剤と薪で火を起こすところから。パチパチという火の音と、ゆれる炎を見ているだけでリラックスしていくのがわかります。遠くに見える富士山には、登山者たちのヘッドライトが山頂まで続くのが見え、幻想的な景色が広がっていました。

神聖な気分で迎える朝は、マイナスイオンと朝食でチャージ

朝、目覚めてテントから出ると、鳥の鳴き声が森に響き渡り、澄み切った空気が辺り一面に広がっています。爽やかな目覚めとともに、散歩に出かけてみるのはいかがでしょう？ 宿泊エリアから、木漏れ日が美しい林道を5分ほど歩いた先にあるのが「母の白滝」。平安時代から富士登山者が身祓を行い、富士登拝の安全を願ったとされ、「河口浅間神社」の末社である母の白滝神社もあります。心地よい清流の音と、新鮮な森の空気が全身を包み込みます。

朝食便は、オーガニックコーヒー、デトックスウォーター、2種のホットサンド。ホットサンドメーカーも一緒に届けてくれるので、お好みの焼き加減で食べられます。この日のメニューは、「カマンベールとはちみつのサンドウィッチ」と「オイルサーディンとバジルのサンドウィッチ」。大自然の中でいただく朝ごはんの味は格別です。

浅間神社の巨大な杉を見上げて、第6感を呼び覚ます

充実のグランピング体験を終えた後は、そのまま峠を下った先にある「河口浅間神社」へ。1,100年以上もの歴史があり、「富士山の信仰対象と芸術源泉」の構成資産の一部として世界文化遺産に登録されています。

境内の七本杉は、天然記念物としても指定されている巨大な杉。最大のもので根回りが30メートル以上、高さは47メートル以上。いざ目の前にすると圧倒されてしまう迫力です。

高地から眺める美しい風景。水のせせらぎや、動物の声。焚き火のあたたかさ。新鮮な地元の食材。5感を癒した後に訪れる神聖な地で、気づいたら自分の第６感まで研ぎ澄まされているかもしれません。富士河口湖町での幻想的な旅の体験が、心身を解きほぐし、エネルギーを満たしてくれます。

Words: Satoko Muroga
Photos: Mizuki Matsuda
2022/9/9

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